ニュー合板タウン
工業製品である構造用合板は、桂剥きによって生まれる「リピートする木目」が特徴であり、それは強度確保と生産効率によって生まれる形になります。また、東京都心から電車で1時間圏内に点在するニュータウンは、大量生産型の住宅を一括で開発することで利便性を保ちつつコストを抑えていて、それはまさに合板の「均一化による経済効率」が形になったものです。

「ニュー合板タウン」のリサーチのため訪れたいくつかのニュータウンは、期待していたほど画一的で無味な街ではありませんでした。住宅が整然と並ぶ中に多くの緑地が点在し、向こうに山、こちらには水辺が広がる。雲がたなびく空と新しい家々に夕焼けがよく映えていました。ニュータウンと合板はどちらも大量生産の冷たさを持ちながら、一方で有機的な自然を含んでおり、人工と自然の狭間に揺れる存在です。合板に雲がたなびくと、量産型の家々の街並みにも山がのぞき、霞立ち、せせらぎが聞こえてきます。

日本人にとって、いまや立ち並ぶ建売り住宅地が、郷愁の原風景になりつつある、そんな合板の風景です。

<構造用合板にレーザー、ステイン>

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